税金を払ってでも現金預金(キャッシュ)を残しましょう。その理由は、失血と輸血不能のダブルパンチを避けるため。【167】

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「税金を払ってもでも現金を残しましょう。」
フリーランスであれ、会社の社長さんであれ、経営をされている方であれば1度はどこかで聞いたことのあるフレーズではないでしょうか?
今回は、その理由について私なりに考えてみました、というお話。

利益(所得)にかかる税金を全く払わない?

税金をできるだけ納めたくないという理由で、決算の数か月前から(架空でなく実費をともなう)経費を増やしはじめ、決算日には意図的に利益をゼロもしくはマイナスにされる方がいるそうです。

これをすると確かに法人税や所得税のような利益(所得)にかかる税金を納める必要はありません。
この経営者は予定どおり利益をゼロにして税金をゼロにしたので、してやったりというところでしょうか。

しかし、少し考えてみてください。
法人税や所得税のような利益にかかる税金がゼロということは、決算書の損益計算書の税引前利益(青色決算書の利益)がゼロということになりますよ。

会計帳簿は1つだけ(単一性の原則)

会計の基本原則の1つに単一性の原則というルールがあります。
それは簡単にいうと、株主総会提出ため、取引先や金融機関の信用を得るため、税金を計算するため、いろんな目的で形式のちがう決算書をつくるケースあるけど、それらの決算書のはただ1つの信頼できる会計帳簿によって作成されることを要求しています(実質一元・形式多元)。

そのため会計帳簿が同一なら、その要約である決算書も当然、実質的には同一になるはずです。
税金計算目的には利益がゼロの決算書を作成し、取引先や金融機関の信用を得るためには利益がでている決算を作成するといったことはできません。

決算書はビジネス成果の過去実績を表現したものです。
もしあなたが利益がゼロの決算書を見せられたとき、どう思うでしょうか?
その相手が代金決済を長期間の掛けや手形にしてくれと申し出たとき、倒産リスクによる貸倒リスクなどを考えずに取引したいと思いますか?

また資金繰りに行き詰まったときにその決算書で金融機関から資金調達できるでしょうか?
私は、高確率で融資を拒否されると思います。

本当に必要な経費なのかを吟味してる?

ただ税金を減らすためだけに支出している経費というのは、本当に経営に必要な経費どうかの吟味が甘くなっているのではないでしょうか?
例えば取引先との複数回かつ高額な飲食接待費や、安易なタクシー利用、消耗品のムダな買いだめ(経費にならないこともありますが。)がよくある無駄な経費の使い方です。

もしそのような経費を税金を減らすためだけに使っているのなら経営には悪影響しかないでしょう。
(その経営者は税金を払わなくて済んだという変な自己満足は得られるでしょうが)
利益が出そうなときほど必要な経費かどうかの吟味が甘くなっていないか自問すべきです。

税金回避目的の経費の無駄遣いは会社の資金繰りを悪化させるだけ

利益(全て現金)が100万円のときに、そのまま素直に税金を払えば、
100万円ー100万円×40%=60万円(税率を40%と仮定)
60万円の利益額と現金が会社に残ります。

利益(全て現金)が100万円のときに、税金を払いたくないと経費100万円を無駄遣いすると、
(100万円ー100万円)×40%=0万円
利益額も現金も会社に1円も残りません。

税金回避目的だけの経費の無駄使いは、税金を払えば残ったはずのキャッシュまで会社から流出させ、さらに決算書の損益計算書を傷つける(利益がゼロ=収益力ゼロ)ことで、いざと言うときの金融機関からの融資も受けにくくさせます。

税金回避目的の経費の無駄遣いは、ビジネスにとって血液である資金(現金)を、手元資金を失わせる(失血)だけでなく、将来の融資(輸血)の可能性まで台無しにします。
賢明な経営者であればやるべきではないと納得されるでしょう。

まとめ

・決算書は実質的に1つだけ(形式は複数ありえる)
・税金回避目的の経費の無駄遣いは資金繰りにとって百害(失血・輸血不能のダブルパンチ)あって一利なし

おまけ

【編集後記】

会計士のE-learning研修
息子の美容室を付き添い
自分の家計&経理

【ムスコログ】

今日は夕方から2回目の散髪に行きました。
前回と同じ美容室だったので、すこし安心したようです。
しかし、カットが始まると口を結んで、15分のカットの間、一言もしゃべりませんでした。
後で理由を聞くと、動くと耳をハサミで切られるから微動だにしなかったそうです。(笑)
美容師さんはプロだから大丈夫だよと言うと安心していました。