あわや法人の青色申告承認を受けられない事態に。法人を設立したら「青色申告の承認申請書」を必ず提出しよう!【200】

今回は、たった1枚の届出書を税務署に出し忘れるだけで、その後、大きな経済的損失を受ける場合があるという、こわーいお話し。

法人も青色申告と白色申告がある

個人の所得にかかる所得税の青色申告というキーワードは、一般の方でも耳にしたことがあると思います。
会社員で特に確定申告が必要ない方でも、なんとなく青色申告の方が税金計算上いろいろ有利なんでしょ?という感覚をお持ちです。
国税庁や税務署も一生懸命に青色申告を納税者にすすめています。

これと同じく法人の場合にも、青色申告と白色申告があります。
しかし法人の青色申告が一般にあまり周知されていないのは、法人設立に税理士等が関与して、その過程で青色申告の承認申請まで行っているからだと思います。

そのため、法人は特に青色と白色とか意識しなくても、気づいたら税理士が青色申告にしてくれていたというのが実情ではないでしょうか?

個人の場合にくらべて法人の場合は税理士が関与することが多く、税理士はデメリットもなく圧倒的に有利な青色申告をオススメするはずです。

ほとんどの法人が青色申告です。私は実務上は白色の法人に関与した経験はありません。そのくらい法人は青色申告の割合が高いんです。

青色申告のメリット6つ

法人で青色申告をすることで以下の大きな6つのメリットを受けることができます。

  1. 青色欠損金の9年間繰越控除
  2. 30万円未満の償却資産を一時に必要経費に算入できる少額減価償却資産の特例
  3. 租税特別措置法に規定されている各種の準備金の損金算入
  4. 各種の特別償却
  5. 各種の法人税額等の特別控除
  6. 帳簿書類の調査に基づく更正

特に私が大きなメリットだと考えているのが1の青色欠損金の9年間繰越控除です。
設立当初は売上が少なく、初期投資の経費が多いので、たいてい赤字になります。
その赤字を利益がではじめる将来の会計期間に9年間も持ち越すことができるというメリットです。
これより過去9年間で赤字がでている場合は当年度の黒字とぶつけて、その差額に税率を乗じて税金額を算出することができます。
そのため青色申告のほうが必ず白色申告よりも税額を抑えることができます。

このように青色申告を前提に税制はさまざまなメリットを用意していますが、白色申告だとこれらのメリットが全く受けられません。

これを受けるためには、「青色申告の承認申請書」を期限内に税務署に提出する必要があります。
1日でも送れると、1年間は青色のメリットを受けられません。
状況にもよりますが、かなり大きな経済的損失になる可能性があります。

税務は知ってる知らないで大きな経済的インパクトあり

この青色申告の制度を知っていて、届け出の紙を1枚だしたかどうかで、将来の経済的負担が場合によっては何十万円から何百万円と変わってくる可能性を秘めています。

「餅は餅屋」というように、会社を設立した場合には税務に関する専門家である税理士に、なるべく早い段階で状況を確認してもらうと良いでしょう。
たとえその相談料で1時間あたり5千円~1万円を支払ったとしても、その後、何十万円という損をするリスクをつぶせるなら、報酬をはらって相談する価値は十分あると思います。

おまけ

【編集後記】

午前中から夕方まで、新設の法人クライアントの初年度決算に際しての現状確認とヒアリング

【ムスコログ】

幼稚園の帰りに、そのまま我が家みんな大好きなココイチカレーを食べに行きました。
お子様カレーについている「おかし又はおもちゃ引き換え券」をもらうのが楽しみなようです。