いろんな勘定科目にあてはまる経費を、どんな基準で勘定科目に割り当てるべきか?【72】

経理をしていて、ある1枚の領収書の経費が、
いろんな(複数の)勘定科目にあてはまり、
どの勘定科目を割り当てるべきか悩んだことがありますか?

例えば、取引先を接待したときに使ったタクシー代の領収書。
一般的に思いつくのは旅費交通費でしょう。
役員・従業員が移動のために使ったタクシー代は通常、旅費交通費に計上されます。
それで問題ありません。

しかし、この例では「取引先を接待する目的で」使ったタクシー代は、
その目的を重視すれば接待交際費に計上するべきでしょう。
会社の関わる法人税法では接待交際費を、
全額は税務上の経費(損金)として認めないという制限があるので(他の損金とは別の取扱い)、
法人税の申告書作成をよりシンプルにするため、
接待交際にかかった経費をすべて接待交際費勘定で処理することが望ましいと考えます。
個人事業主の関わる所得税法では接待交際費の全額を、
税務上の経費(必要経費)として認めているため(他の必要経費と同じ取扱い)、
所得税の申告書作成のために必ずしも交際費にする必要はないかもしれません。
ただし、個人事業の場合、交際費は大きな金額になりがちで、
かつ経営上の重要項目としてコントロールする必要があるため
別途接待交際費勘定にすることが望ましいと考えます。

ある1枚の領収書の経費が、いろんな(複数の)勘定科目にあてはまり、
どの勘定科目を割り当てるべきか悩んだ場合の判断基準を私なりに以下に挙げてみます。
上から順に優先順位が高いということではありません。

・税務上の取扱いが他の経費とちがう経費については独立の勘定科目を割り当てる。
前述の例のように、法人税法上、接待交際費や寄付金は払った全額が税務上の経費とはなりません。
また受取配当金は全額が税務上の収益とはなりません。
そのため法人税の申告書上で調整する際に金額を拾う必要があります。
その金額を独立の勘定科目で集計しておくと、申告書の作成がシンプルになります。

・ビジネスの性質上、金額が大きくなる可能性が高い経費は独立の勘定科目を割り当てる。
建設業などでは接待交際費が多額になりがちなので、その増減が利益に大きな影響をあたえます。
利益の動向をよく理解するためには、金額の大きな経費を独立の科目で管理するのが望ましいと思います。

・経営者が特別にこの経費を管理したいというものは独立の勘定科目を割り当てる。
経営者が注目している経費を独立させることで、その管理をかんたんにする効果があります。

読んでみて気に入った判断基準があればぜひ使っていただければ!

【編集後記】
決算業務完了。
書類が溜まってきてるので整理しなければ。

【ムスコログ】
一週間ぶりに幼稚園に行った息子。
朝は行きたくない!といってましたが、
園から帰ってくると楽しかった!とのこと。!(^^)!