税務調査対象となりやすい会社の特徴。その理由とともに。【117】

会社(法人)の顧問を請け負っていると、数年に1回は必ずある
避けては通れない税理士業務があります。
もったいぶっていますが、今回のタイトルにあるように、
税務調査のお話です。

過去に箇条列挙で書いた内容を、理由付きで、より深くお話しします。

税務調査官はウソを見破るプロ→絶対にウソをついてはダメ!【86】

税務調査対象となりやすい会社の特徴(過去ブログ【86】の一部を再掲)

①税務申告が3回以上行われ(事業が3年以上継続)、②売上高が一定規模以上あり、
③そのうえ利益がでている会社では、
税務署の税務調査官による税務調査が行われる可能性があります。
それ以外の会社についても税務調査の可能性はゼロではありませんが、
相対的に可能性は少ないです。
他にも税務調査の対象となりやすい特徴として、

  • 現金商売(売上金を現金でうけとる飲食店など)
  • 建設業、遊戯業、風俗業
  • 属する業界が全体的に好景気なのに、その会社だけ売上も少なく、利益も出ていない
  • 税務申告書に税理士の署名がない(税理士のチェックが入っていない)
  • 売上先が不特定多数の一般消費者(小売業)
  • 当期決算数値を前期比較して、特定の勘定科目に異常な増減がある

なぜ上記の特徴があると税務調査対象となるのか?

税務申告が3回以上行われている(事業が3年以上継続している)

一般的な中小企業の税務調査は、調査期間3日を使って、
進行期(現在進行中の会計期間)と過去3期分の申告内容をチェックします。

そのため、税務申告が3回以上行われている会社が調査対象になりやすいです。

ただし、申告内容に明らかに大きな異常があれば、税務申告3回を待たずに調査対象となることもあります。

売上高が一定規模以上ある

私は税務調査官の経験がないため、具体的にいくらとは断言できませんが、
(まあ、経験あってもブログで公表は当然NGでしょうけど。)

私の推測(私見)では、消費税の納税義務の判定基準と同じく、
年間売上高が税込1,000万円を超えると調査対象の可能性が高まるんじゃないでしょうか?

法人税だけでなく調査対象税目に消費税も含まれ、
より税金をとれる可能性が高まるので、そう推測しました。

利益を計上している

税務調査には税金の徴収漏れを回収(集金)するという大事な目的があります。

その観点からすると、法人税をとれるのは利益を計上(正確には所得を計上)した会社だけです。
大きな赤字を計上している赤字会社の過少申告を指摘しても、赤字(繰越欠損金)が減るだけなので税金を集金できません。
そのため、利益を計上している会社を調査対象にしたいというインセンティブが生じますよね。

現金商売(売上金を現金でうけとる飲食店など)、建設業、遊戯業、風俗業

これは特殊な業界慣習や特徴からくる理由です。
例えば、風俗業のお店を利用したことを、わざわざオープンに他人にベラベラ話す人はいませんよね。

売上の情報がお客さんから入ってこないため、風俗業は売上金の除外を他業種にくらべてやりやすいという特徴があります。
そのため調査対象になりやすいです。

属する業界が全体的に利益が出ているのに、その会社だけ売上も少なく、利益も出ていない

業界全体のトレンドと逆の財務数値となっている場合、
脱税をするために逆粉飾(本当は黒字なのに、赤字に加工する)をしているのではないか?
という疑念が生じます。
そのため調査対象となる可能性が高まります。

税務申告書に税理士の署名がない(税理士のチェックが入っていない)

会計業務と税務の専門家である税理士がチェックした署名つきの税務申告書にくらべて、
税理士のチェックが入っていない署名なしの税務申告書の方が、税務申告書に大きな誤りがある可能性が高いため、
税理士署名がない会社を調査対象に含めたくなりますよね。

署名がないから、すぐ調査ということは、ありませんので誤解のないようお願いします。
念のため。

売上先が不特定多数の一般消費者(小売業)

簡単にいえば、飲食店や雑貨屋さんです。

売上相手が特定できないような、不特定多数のお客さんに少額な商品・サービスを提供する場合、
対面調査をするわけにもいかず売上を捕捉しづらいので、調査対象の可能性が高まります。

当期決算数値を前期比較して、合理的な理由なく異常な増減がある

前期と同じビジネスを同じように継続していれば、
決算書の前期比較(当期と前期の決算数値の差額を計算・比較すること)をしても、通常は大きな数字の差は生じません。

それなのに、決算書の前期比較の結果、合理的な理由なく異常で多額の増減がある場合、
その理由がなんなのかを知りたいと思いますよね。

そのため調査対象となる可能性が高まります。

まとめ

申告に何か誤りがありそうだな。調査したら税金とれそうだな。
という観点から調査対象が選ばれる。

単年度だけの特殊事情がある場合には、
それを「法人事業概況説明書」裏面の18当期の営業成績の概要に付記するとよい。

【編集後記】

12月決算の法人(申告期限は今年2月末)の決算&申告の準備にとりかかりました。
なかなかボリュームのある法人なので早めに対応してます。

【ムスコログ】

少し遅れて、知り合いの方からお年玉をもらった息子。
また仮面ライダー変身アイテムのフルボトルが買える!といって大喜び。
もう8つもあるから、他のおもちゃにしたらいいんじゃない?と思う父と母でした。