会社の決算月、安易に3月決算にすることはオススメしません。決算月を決める際に考慮すること。【204】

すべり台

企業会計は会計期間、税務会計は事業年度という1期間(通常1年間)を集計・計算の単位としています。
そこで今回は会社(法人)の決算月についてのお話。

決算月の決定は重要

決算月には決算月特有の期末棚卸作業や経理処理が必要になり、その決算日後、2か月以内に税務申告書を申告し、法人税等・消費税の納税が必要になります。

期末棚卸の負担

棚卸作業の目的は、商品や製品が在庫として、「何が、いくつ残っているのか」をカウントにより確かめることです。

決算日時点の商品や製品の残高を確定する必要があるため、棚卸作業は決算月(通常は決算日)に行います。

製造業や物販業など商品等を多くかかえる業種の場合、期末棚卸作業は多くの人員と時間を要するため、大変な労力を費やします。

しかも正確性を高めるためカウント中は商品等の動きを完全にストップすることが多いです。

このように通常業務にも影響を与え、決算書に計上される数値を確定させる重要な作業を行う必要があるため、決算月の決定は経営上重要な意味を持ちます。

納税資金の負担

また決算月の2か月後には法人税等や消費税の納付が必要になるため、業種の特性上、資金繰りが良い月の2か月前を決算日にすると納税が楽にできるでしょう。

例えばブライダル業界は6月に売上が多く、その入金は7~8月になるため、8月より2か月前の6月決算を採用すると納税資金の工面に困らないでしょう。
決算月の6月末は棚卸作業が必要となりますが、ブライダル業界は通常、棚卸資産が少ないので大きな負担にはならないと思われます。

3月は税理士業界の繁忙期

会社の決算業務と税務申告は難易度が高いため、ほとんどの会社で顧問税理士に依頼していると思います。(私も個人的には費用対効果の面で税理士に依頼するのが得策だと思います。素人判断でミスしたときのダメージが大きくなる可能性が高いので。)

しかし、この3月は個人の確定申告期限があるため、税理士業界の繁忙期です。仕事量と人員数によっては「超」繁忙期です。

そのため、税理士事務所によっては、業務量が多くなりすぎており、決算対策などが甘くなる可能性があります。

決算月によって、決算対策が甘くなることはプロとしてあってはならないと思います。

しかし税理士や職員も人間です。確定申告期限が3月15日に集中しているため、寝不足で疲労が溜まっていたりすると、適切な判断ができない可能性があります。

この可能性を低くするには、税理士業界の繁忙期である3月決算をはずし、その他の月を決算月として選ぶことをオススメします。

決算月の変更もできる

1度決めた会社の決算月は変更できないと思っている会社が多いようですが、実は、意外と簡単に決算月を変更することが可能です。

私も会計事務所員のときに、依頼を受けて1度経験しました。

3月末決算を9月末決算にする場合には、4月~9月末までの6か月間について、通常どおり決算処理・税務申告を行います。
つまり6か月間についての決算です。

手続きはシンプルですが、決算・申告が必要になるため、税理士に決算料1回分を余分に支払うというコストは発生します。

そのため、決算料1回分のコストと決算月変更のメリットを比較する必要があります。

個人事業と異なり、会社は自由に決算月を選ぶことができるため、そのメリットを生かすといいでしょう。

まとめ

・決算月には期末棚卸という作業を行う必要がある(在庫等が多い業種はとても大変)ので、自社ビジネスの繁忙期を避けるべき
・納税資金の工面の関係上、資金が潤沢にある月の2か月前を決算月にするべき
・税理士の繁忙期である3月を避けるべき
・とりあえず3月決算でやってみて、不都合あれば決算月の変更も可能
・なんとなく3月決算はオススメできない

おまけ

【編集後記】

法人クライアントの不動産取引の検討
とある特定分野の会計基準の学習&参考書のweb発注(基本事項の暗記)

【ムスコログ】

小児科で処方された目薬が効いているようで、目を擦らなくなりました。
あいかわらず目薬を怖がりジタバタするので、熟睡しているときに目薬を差しています。(-_-;)