居住用財産の譲渡(売却)について特例などの税制上のフォローが厚い。反面、適用要件がやたら細かく複雑。【389】

日本はマイホームを持ちたがる人が多いです。

国にも個人のマイホーム取得を推奨し、それに伴う需要を見込んでいます。

そのため、居住用財産(マイホーム)について、税制面で手厚いフォローをしています。

居住用財産は政策に利用されてきた

居住用財産とは、マイホームまたはマイホームとその敷地をいいます。

だれでも分かりやすいように、ラフな表現にしています。(正確な定義は国税庁HPなどに譲ります)

税制は国や政府の施策を促すために、利用されていることが多いんです。

例えば、みなさんお馴染みの住宅ローン控除。
これは住宅ローンを組んでマイホームやその敷地を購入した個人に対して、所得税負担を軽減するものです。
所得税だけで税額控除しきれない場合には住民税からも控除しましょう!という至れり尽くせりの制度です。
そこまで大盤振る舞いして個人にマイホーム等を購入してもらいたいという趣旨だそうです。
マイホーム取得による需要喚起で経済成長を図ろうとした過去の国の政策の遺物です。(現在も住宅ローン控除制度は生きています。)

居住用財産を譲渡して譲渡益がでたときの特例

譲渡益がでたときの特例をいくつか挙げてみます。。

①居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(軽減税率の特例)

これは居住用財産を譲渡した場合、一定の要件に該当すれば、通常と譲渡所得にかかる税率よりも低い税率を適用して税額計算ができるという特例です。

②自己の居住用財産の3000万円控除の特例

自己の居住用財産を譲渡して生じた譲渡益から最大で3,000万円をマイナスすることができる特例です。
投資対象でなく自分が住むためのマイホーム等でたまたま譲渡益が出たとしても、それについて課税をするのは極力避けるべきという趣旨でしょう。

③空き家の3000万円控除の特例

被相続人から相続した空き家を譲渡した場合に生じた譲渡益から最大で3000万円をマイナスすることができる特例です。
近年の増え続ける空き家問題に対処するためのもので、相続人に空き家の処分を促す税制です。

とにかく居住用財産は税制面での保護が厚い

前述では譲渡益についてだけ書きましたが、居住用財産は取得、保有、賃貸、譲渡、相続、贈与について税制面の保護が厚いんです。

どの段階でも、できるだけ税金がかからないように制度設計されています。
居住用財産には過大な税負担を強いるべきではないという気持ちがひしひしと伝わってきます。

居住用財産(マイホームなど)の取引に興味がある人は、その取引(取得とか譲渡)にどんな税務上の恩典があるのかを、把握してから取引に臨まれることをオススメします。

以上です。また明日!

おまけ

【本日の成長】
東北税理士

会山形支部主催の研修に参加。
お題は居住用財産にかかる税務の一巡について。

【編集後記】
今日の研修は午後の4時間研修。
肩こりからくる頭痛に悩まされます。

【ムスコログ】
いっしょにお風呂に入りました。年中組になったいまでもシャンプーを嫌がります。
困ったもんです。

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