青色申告個人事業主のパートナーには配偶者控除より青色事業専従者給与がおすすめ【163】

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税法を適用する場合に2つ以上の方法があり、納税者が自由にどちらでも選択できるケースがあります。
今回は、所得税法上の制度である配偶者控除と青色事業専従者給与のどちらを選択するとお得か?に関するお話。

配偶者控除(所得控除)の大改正【平成30年分から適用】

配偶者控除は平29年度税制改正で大きく改正があった部分です。
主にパートなどの短時間勤務をしている主婦(主夫)層の働き方に大きなインパクトを与える改正なので、頻繁にマスコミにも大きく取り上げらていたので記憶に残っている方も多いでしょう。

年も暮れに近づく10月から12月頃に配偶者控除をうけるため、給与収入103万円に近づくと収入調整に入るパートタイマー等の労働者が増えはじめます。(人手不足にもかかわらず)103万円の壁がたくさん働くことへの障害になっているから、それを緩和しようというのが改正の趣旨です。

改正の内容をかみ砕くと以下の2点です。納税者本人の所得制限が新たな要件として設けられ複雑化しました。
私も説明するときは図を利用するようになりました。

  1. 配偶者控除・配偶者特別控除を受けられる配偶者の給与収入額のバー(上限)が増額されました。これにより、パートタイマー等の主婦(主夫)は配偶者除・配偶者特別控除を受けながら給与収入103万円より多く今まで以上に勤務することができます。
  2. 配偶者控除・配偶者特別控除を受けるにあたり納税者本人に所得制限が設けられました。つまり、高額所得者は配偶者控除・配偶者特別控除は適用できませんということです。

図解 配偶者控除・配偶者特別控除の改正

青色事業専従者給与(必要経費)

青色承認申請を受理された個人事業者であれば、青色事業専従者給与の届け出をして、その届出書の金額の範囲内で、
事業に専従している妻(夫)に対し、実際に青色事業専従者給与を支給すれば、その青色事業専従者給与は事業所得計算上の必要経費にすることができます。

所得分散による所得税の減額を防止するため、本来は同一生計親族(同じサイフで暮らしている家族)に対する給与は認められませんが、
青色事業者については青色申告の恩典として例外的に同一生計親族に対する給与の支払いを認めています。

青色事業専従者給与と認められるためには他にも要件(事業専従者は20才以上など)がありますが、それについては国税庁のHPに譲ります。要件として当然の内容であり、要件クリアは容易です。

No.2075 青色事業専従者給与の要件

【結論】どちらを選択すべき?

さて、ここでたどり着くまで長かったですね。
すでにご存じだった方には申し訳ありません。

配偶者控除・配偶者特別控除と青色事業専従者控除は重複適用できません。そのためどちらか有利な方を納税者が選択していいんです。

配偶者控除は所得控除として最高38万円まで認められます。つまり課税所得金額を最高38万円までマイナスできます。

青色事業専従者給与は事業所得計算上の必要経費として、仕事内容に対して不当に高くない金額まで認められます。いくらまでならOKという金額の明示がないため、私は所得税も住民税もかからない月給8万円×12か月=96万円をアドバイスしています。
そうすると、課税所得金額を96万円までマイナスできます。

その結果、青色事業専従者給与を選択したほうが、年間課税所得金額を58万円少なくでき、最低でも税率15.105%(所得税5%+復興特別所得税0.105%+住民税10%)に対応する年間87,609円を節税できます。さらに青色事業専従者給与には青色事業者本人の所得制限もありません。

結論として、節税だけにフォーカスすれば、青色申告個人事業主のパートナー(妻もしくは夫)には配偶者控除より青色事業専従者給与がおすすめです。

おまけ

【編集後記】

朝はムスコを幼稚園バスで送り出し、午前中はしっかり税理士業務を実施。
午後は妻が創業セミナーに参加する都合上、山形駅西口や山形駅を散策。
本日はじめて山形テルサの確定申告会場を見学させていただきました。
確定申告に関わる者として1度は見ておきたい!と思っていたものですから。。
アポなしにもかかわらず山形税務署職員の方に好意的に見学させていただき感謝です。<m(__)m>

【ムスコログ】

預かり保育で迎えに行った際、幼稚園で担任の先生に「〇〇(息子の名前)ちゃん、もう帰っちゃうの?まだ帰らないでー」と言ってもらった返答に、「帰るに決まってるでしょ~w」にやにやと息子。
そのやりとりが何だか可笑しくて父もつられて笑っちゃいました!(^^)!
あと1か月で年少組を卒業です。しみじみ