フリーランスや個人事業主になったら、会社員のとき経費にならなかったものを漏らさず経費にしよう!【160】

確定申告期はどうしても所得税の記事になりがちです。
というお断りをしたうえで、今回も、今が旬のフリーランスや個人事業主(以下、フリーランス等)の確定申告に役立つお話。

会社員として働くための経費(給与収入の経費)

会社員の給与は給与所得に区分され、会社員として働くための経費、例えばスーツ代、ビジネス書籍代などは給与所得控除という概算経費によって考慮されています。
給与所得控除により給与収入(額面総額)に応じて一定の計算式で算定される概算額を経費として考慮しています。
そのため、同じ給与収入の会社員であれば、同じ給与所得控除が算定され、結果、給与所得は同額となります。
給与所得は以下の式で計算します。

・給与所得=給与収入ー給与所得控除(一定の計算式で一律に計算)

この給与所得控除には原則として実額経費を計上することはありません。
実額経費が経費にならないケースを挙げれば、たとえば税理士業務に関連して税法関連の専門書10,000円分購入してその領収書を保管したとしても、その経費は給与所得の計算上、経費とはなりません。給与所得の計算上、すでに給与所得控除で経費は考慮済みということです。

フリーランス、個人事業主は実額経費のみ認められる(事業収入の経費)

フリーランス等は、会社員と異なり、概算経費は一切認められず、実額経費のみが認められます。
税務調査を受けるとき、領収書等を保管しておき、自ら実額経費の存在を立証する必要もあります。
事業所得の計算式は次のとおり。

・事業収入=総収入金額ー必要経費

会社員のときは、会社から毎月給与をもらって、その中から、
住居の家賃、自家用車の維持費、水道光熱費、携帯電話代、ネット代を支払ってきました。
これらの支出は、プライベートな生活費とされ、一切、給与収入に関する経費にはなりませんでした。

フリーランス等になると、住居の家賃、自家用車の維持費、水道光熱費、携帯電話代、ネット代などが事業収入を得るために必要な経費として認められる可能性があります。

せっかくフリーランス等になったら漏れなく経費計上しよう

住居の家賃、自家用車の維持費、水道光熱費、携帯電話代、ネット代などのうち、仕事に使っている割合(事業割合)については、
必要経費として事業所得の計算上、売上などの事業収入からマイナスすることができます。

ただし、事業割合に対応する部分のみが必要経費となることに注意が必要です。
誤って、たとえば自宅兼事務所の家賃を100%必要経費にしてしまうと、事業割合が60%と仮定した場合、40%分を経費を多く計上しすぎとなるので、過少申告(あるべき所得金額・所得税額より少なく申告)となってしまいます。これを税務調査により指摘された場合、延滞税や過少申告加算税を課される可能性があります。

事業割合の算定方法ですが、合理的に説明できる費用があります。経費ごとに具体的な算定例を挙げてみます。
・住居兼事務所の家賃→全体面積に占める事務所利用面積の割合
・営業用車両の維持費・ガソリン代→全体走行距離に占める事業利用走行距離の割合
・電気代 →全体消費電力量に占める事業利用電力量の割合
・携帯電話料金→全体通話時間に占める事業通話時間の割合
・ネット料金→全体ネット利用時間に占める事業利用ネット時間の割合

というように、精密に計算できれば理想的ですが、
・住居兼事務所の家賃→全体面積に占める事務所利用面積の割合
以外は、その集計がとても煩雑になるので、フリーランス等の納税者の感覚的なもので、ざっくり決めるのが実務的には多いですね。
経験上、住居兼事務所の家賃を100%必要経費にするというような明らかに不合理な事業割合でなければ、税務調査による指摘もありません。
安心して、事業割合分は必要経費に算入してください。

まとめ

・会社員は原則、概算経費
・フリーランス等は実学経費のみ
・フリーランス等の特有の経費を漏れなく計上しよう!

おまけ

【編集後記】

体力を回復させるため安静にしていました。
仕事は控えめにして進めました。

【ムスコログ】

平仮名を完全マスターしたので、いろいろ読みたいのか、「かるた」で遊びたがります。
通常の遊び方のほかに、かるたの札を並べて自分で単語をつくる遊びをしています!(^^)!