AI進展によるコンピューター機械化の波。機械化が進みやすい業務特性。税理士のビジネスモデルも転換が必要。【169】

AIの進展により、近い将来なくなる職業ランキング上位の税理士。
今回は、コンピューター機械化の波で税理士のビジネスモデルも転換が必要では?、というお話。

コンピューターによる機械化が進みやすい業務の特性2つ

今回の記事は、税理士会員の情報誌「税理士界」平成30年2月15日発行の「AIと税理士業務」平野雅章氏の特別寄稿を読んだことがきっかけです。
とても分かりやすく、読者のみなさんにもお知らせしたいので、記事にしてみました。

平野氏は、この寄稿の中で、機械化が進みやすい業務の特性を2つ(①と②)挙げられています。

①業務が何らかの形でルール化・仕組み化されていること

より具体的にいう特性を示すと、

  1. 既存のルールに依拠して一貫性が要求される業務(官公庁などの手続業務、)
  2. 多数のデータ分析により質が向上できる業務(医療診断、投資決定、経営判断)
  3. 人間の注意力・持久力・筋力の限界を機械により補完・置換できる業務(飛行機、自動車、プラントなどの自動運転、工場ロボット、会計処理)

という内容でした。

職業柄、会計処理が入っている点に注目してしまいますね。

②人件費が相対的に高い業務

上記の1~3の条件を満たし、人件費が相対的に高い業務の方が、低い業務より、機械化される可能性が高いそうです。

それには納得します。
安い人件費でまかなえる仕事であれば、わざわざコストをかけてまで機械化を進める人は少ないでしょう。
高い人件費を節約するために、わざわざコストをかけて機械化を進めるんだと思います。
機械化した方が長い目でみたら節約金額の方が大きくなりますからね。

従来の記帳代行は、まさに機械化の筆頭、究極的には税務申告書の作成も?

会計事務所・税理士事務所は、従来の記帳代行をベースとして、申告月に決算料をいただくという報酬形態が一般的です。

その報酬の大部分(67~70%程度)をしめる記帳代行は、まさにAIによる機械化の筆頭業務でしょう。
その理由を当てはめて説明します。

  1. 会計基準という既存のルールに依拠して一貫性が要求される業務
  2. 膨大なデータ分析により勘定科目の自動割り当ての精度も日々向上する(MFクラウド会計など)
  3. 人間の注意力・持久力を補完する業務(24時間休みなく会計処理し続けられる)
  4. 記帳代行料という相対的に高い報酬を要求している

私見ですが、税務申告書の作成(報酬の33%~30%程度)の機械化はもう少し時間がかかると思いますが、技術的に不可能でないので、そう遠くない未来に機械化される可能性は高いと考えています。

そのため、従来の作業代行を中心としたビジネスモデルである「記帳代行をベース+決算料」は、しばらくは通用するかもしれませんが、長期的には徐々に通用しなくなっていくでしょう。

AIが進展しても生き残る税理士像

作業代行を中心としたビジネスモデルをすっぱり捨てて、AIができない仕事に経営資源を投入するという税理士像。
具体的には、税務相談、税務調査立会、決算書のチェック業務、コンサルティング、セミナー業、執筆業、レクチャー業などノンルーチンな業務をメインとします。
AIに機械化されないうえに報酬単価も高いんですが、そのような単発の仕事をどう獲得するかが課題です。

作業代行を中心としたビジネスモデルを突き詰めて、安価かつ良質な人員を確保し、できるだけ低価格の報酬で最低限の「記帳代行+決算」サービスを提供するという税理士像。
ただし、税理士業界・会計業界も人手不足でなので、「安価かつ良質な人員」をどう確保し、定着を図るのか課題が残ります。

私は今のところ、超小規模で税理士事務所を経営したいと思っています。
そのため、前者を目指しています。

まとめ

・記帳代行+決算という作業代行中心のモデルは徐々に通用しなくなる。(安価な報酬なら通用する)
・AIが進展し、作業の機械化が進んでも生き残れる税理士像を検討しておくことが必要

おまけ

【編集後記】

・クライアントの確定申告書をe-Tax
・会計士のE-learning

【ムスコログ】

預かり保育で仲良しの女の子が、今日は預かり保育に来なかったから、ショックを受けたと言っていました。
明日は来るよといったら、喜んでいました。!(^^)!