平成29年分確定申告から医療費控除の改正があることは聞いている。で、結局どれが1番楽な方法なの?原則の「医療費の控除明細書」がオススメ【170】

今回の確定申告(平成29年分)から医療費控除の改正があったことは、みなさんご存じだと思います。
従来の医療費控除に加えて、セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)も新設されたので少し厄介です。
今回は、従来の医療費控除にしぼり1番楽な方法は何なのか?を私なりに検討した、というお話。

関連した過去の記事にリンク貼っておきます。セルフメディケーションはそちらへどうぞ。

平成29年分確定申告の医療費控除の改正。「医療費控除の明細書」の添付が必要になる。【127】

新制度セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)で税金を取り戻そう!【107】

改正のおさらい

まず平成29年分確定申告から医療費控除は原則として医療費領収書の提出が不要になりました。
その代わりに、「医療費控除の明細書」の作成・添付が必要になりました。
ただし、その場合でも医療費の領収書は納税者側で5年間保存する必要があります。
税務署から提示を求められたときは、納税者は領収書を提示しなければなりません。

また「医療費の明細書」に代えて「医療保険者から交付を受けた医療費通知」(健康保健組合等の発行する「医療費のお知らせ」等)を添付することも可能です。

経過措置として、平成29年分から平成31年分までの確定申告については、平成28年分までと同様に領収書を提出することも可能です。

選択できるルートは3つ

前述のとおり、平成29年分確定申告で医療費控除を適用する際に選べるルートは以下の3つです。
それぞれ検討してみます。

①原則どおり「医療費の控除明細書」を作成・添付するルート

改正後、最もスタンダードな王道ルートです。
しかし、この「医療費控除明細書」は、医療を受けた人ごと、病院・薬局ごとに1年間の領収書を集計しなけなりません。
納税者本人だけでなく、その家族分の医療費もまとめて医療費控除の対象とする場合には意外と手間がかかります。

集計の例は以下のような具合です。
・国税太郎 A医院 計××円
・国税太郎 B薬局 計××円

・国税花子 A医院 計××円
・国税花子 C薬局 計××円

ここで、A医院については、医療機関が同じですが医療を受けた人が違うので、まとめて集計することはできません。
これのおかげで領収書の仕分けが大変になりました。

1年間の医療費領収書が多く、医療を受けた本人・家族の人数が多く、しかも受診した医療機関が多いほど、領収書の整理と集計作業に手間がかかるでしょう。
そのような方は、1年を通して、医療を受けた人ごと、病院・薬局ごとに領収書を整理しておくことをオススメします。

なお確定申告後も5年間保存が義務なので、その間は領収書を捨てられないという煩雑さは残ります。

②「医療費の控除明細書」に代えて「医療保険者から交付を受けた医療費通知」を添付するルート

このルートは、これまでの税務実務から180度方向転換を図った例外なので税理士としては驚きましたね。
平成28年分まで医療費控除には領収書が必須で(e-Taxを除く)、「医療費のお知らせ」では絶対に医療費控除を認めないとされていたんです。
それが急に「医療費のお知らせ」でもOKって。。
まあ、税法や税務ってそういうところ多々あります。。。
やはり改正点フォローアップは必須ですね。

さて②のルート、結論からいえば、「医療費のお知らせ」は確定申告の医療費控除に使うにはラフすぎる情報(だいたいの医療費概算額を知らせるもの)なのでオススメしません。

「医療費のお知らせ」で代替する場合、必ずしも確定申告で必要な1月1日から12月31日の医療費が記載されているとは限らないことに注意が必要です。
というか、そもそも11月から12月は記載されていません。
平成30年2月になって私に届いた「医療費のお知らせ」には平成29年10月診療分までしか記載されていませんでした。

したがって、残りの平成29年11月から12月まで診療分を領収書から集計して別途「医療費の控除明細書」を作成しなければなりません。
加えて、この2か月間の領収書はやはり5年間保存なんです。

また平成29年10月までの受診分ついても「医療費のお知らせ」に記載されない医療費もあります。
たとえば、特定の診療科を有する医療機関で受診した場合、レセプトを審査中の場合などは記載されません。

どの領収書が記載されていて、どれが記載されていないかをチェックする方が大変です。
それなら、まっさらな何もない状態から集計する方が正確だし、簡単だと私は思います。

③経過措置の医療費の領収書を提出するルート

結論から言うと、これもオススメしません。
改正により、この③のルートは、あと3回分(平成29年分を含む)の確定申告にしか使えません。
近い将来なくなる手続きに、いつまでもしがみついていてもしょうがないと思います。

あえてメリットを挙げれば、領収書は医療費控除にしか使わない、5年も保管したくない場合は、税務署に送ってしまいスッキリする。。(笑)くらいでしょうか?

まとめ

・原則の「医療費の控除明細書」を作成・添付が正確かつ簡単
・ただし、領収書を1年を通して整理しておかないと仕分けが煩雑
・原則の「医療費の控除明細書」を作成・添付をオススメ

おまけ

【編集後記】

法人顧問先の税務申告を完成させました。
午後は油買いにいってました(灯油・ガソリン)。

【ムスコログ】

幼稚園の預かり保育で、息子と仲良くしてくれている年少組(クラスは別)の女の子を紹介してもらいました。
私もあいさつをすると、気に入ってくれたのか、「また明日ねー」と言ってお母さんと一緒に帰っていきました。
息子のガールフレンドとファーストコンタクトです!(^^)!