よく目にする「減価償却」という専門用語。その意義・計算構造・目的を解説してみた。【276】

山形市吉原

山形市吉原にて

企業の決算書や個人事業の青色(または白色)決算書を見ると、たいてい目にする「減価償却」という言葉。

なんとなくイメージできるけど、人に説明できるほど深く理解できていない、という人がほとんどだと思います。

せっかくイメージできているなら、もう少し会計理論的なところまで突っ込んで理解してもらいたい! と私が一方的に勝手に考えて今回の記事を書きました。

減価償却の意義や目的を知りたい人は、ぜひ読んでいただければ。

減価償却ってなに?

有形固定資産は、土地を除き、その使用、時間の経過などの原因により、その価値が減少していきます。
そのため、各会計期間の損益を正確に計算するためには、価値減少に対応して、その取得原価を、その資産の利用期間に費用として配分することが必要になります。
このような有形固定資産原価の配分手続きを減価償却という。

公認会計士や税理士を目指すコースのテキストは、上記ように書いてあります。
ちょこちょこ専門用語が入っているため、会計の初心者には理解しづらいと思います。

そこで私なりに、もう少し砕いて翻訳してみます。(笑)
土地を除く、形のある固定資産は、使えば使うほど、時間が経てば経つほど、その資産価値は減っていきます。
そのため、各事業年度の業績を正しく計算するため、資産価値の減少に合わせて、その資産の購入コストを、その資産を使っている事業年度のコストとして配分する必要があります。(だって、その資産を使って売上を得ているんだから使っている事業年度にそのコストを負担させるべきでしょう!)
このような固定資産購入コストの各事業年度への配分計算を減価償却といいます。

多少分かりやすくなったでしょうか?

減価償却の計算構造(3要素)

減価償却には、3つの計算要素が必要になります。

それは、
①取得原価(買うために払った代金+使うまでにかかったコスト)
②残存価額(使用可能な年数経過後の資産の買い取り金額)
③耐用年数(使用可能な見積り年数)

計算例をあげてみます。
代金95万円の運送業用自動車1台を、5万円の運搬コストを負担して購入した。耐用年数は5年で、5年経過後の残存価額は10万円と仮定する。減価償却方法は定額法による。

この場合、
①取得原価は、95万円+5万円=100万円
②残存価額は10万円
③耐用年数は5年
したがって、1事業年度あたりの減価償却費は、(100万円-10万円)÷5年=18万円/年 となります。

減価償却はどうして必要?

ここまで減価償却の意義と計算式の具体例をみてきました。

資産を買ってお金を全額払った事業年度の費用にすればいいのに。。。なんでこんな面倒な計算をするんだろう? と思われている方も少なからずいると思います。

その理由を一言でいうなら、1事業年度の業績を正しく把握するためです。
前述の計算例であれば、運送業用の自動車があるからこそ将来5年間にわたり運送業による売上が得られるんです。
そうであれば、今期も含めた5年間で自動車のコストを負担するべきでしょう。
それなのに、1年目で自動車代金(運搬費含む)100万円全額を費用計上してしまうと、その業績は実態を反映できなくなります。

A 業績を正しく反映していない。ただしキャッシュフロー(資金の動き)は正しく反映している。

1期 2期 3期 4期 5期
売上 50万円 50万円 50万円 50万円 50万円
減価償却費(費用) △100万円
利益 △50万円 50万円 50万円 50万円 50万円

 

B 業績を正しく反映している。

1期 2期 3期 4期 5期
売上 50万円 50万円 50万円 50万円 50万円
減価償却費(費用) △18万円 △18万円 △18万円 △18万円 △18万円
利益 32万円 32万円 32万円 32万円 32万円

会計理論上、Bの表が業績を正しく反映していると考えます。
なぜなら同じ売上(毎期50万円)と同じ経費(毎期18万円)なんだから、業績である利益も同じであるべきと考えるからです。

以上です。また明日!

おまけ

【編集後記】

午後から「セールス・営業」のWEBセミナーを受講しました。
巷のセミナーはSNSなどを利用した「集客」に偏っているという指摘がありました。
せっかく集客できても、セールスが上手くいかなければ成約までいたらず、売上にならないとのこと。
確かに集客が少なくても、制約率が高ければ、それだけで高い確率で売上になります。
セールスの重要性を再認識しました。

【ムスコログ】

幼稚園で父の日イベントで、お父さん(私)の似顔絵を描いたそうです。
それが、近所のスーパーに貼り出されているということで、3人そろって見に行きました。
その似顔絵にはメガネをかけた男の人とビールと肉が書いてありました。
ビールと肉は私の好物だから描いたそうです。!(^^)!