会社のお金を社長への貸付け。それ自体はOKだけど、無利息はNG。【280】

山形市べにっこ広場

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中小企業の場合、オーナー社長が会社のお金を、自分個人のお金として考えている場合もあります。

その考えが、思いもよらない問題に発展することもあります。

中小企業のよくある事例

社長のプライベートなこと(子どもの大学入学金など)で、急遽、お金が必要になった。

そうだ! 会社からお金をひっぱてきて社長に貸付けよう。

会社のオーナー(株主)は社長1人だから文句いう人いないし、無利息でも特に問題はないよね。
社長に利息を払え! なんて恐くて言えないし。。。

こういう話は、中小企業でよくあります。

貸し付けた後、短期間で社長から会社へ返済があれば、それほど問題にはなりません。

しかし金額がある程度大きく、借りっぱなしになり何年も経過した状態で、税務調査を受けると大きな問題になる可能性があります。

貸付利息計上もれの指摘

その問題とは、税務調査官から、貸した相手に対する利息を計上しなさいとの指摘を受けることです。

会社がお金を貸し付ける場合には、たとえ相手が社長であっても、1人株主であっても、合理的な貸付利息を計上しなければなりません。
必ずしも利息金額の受け渡しをする必要はありませんが、会社の経理上は、

(借方)未収金 ×× (貸方)受取利息 ××

という仕訳をして、法人税の計算上の収益(益金という)としなければなりません。

この理由は、会社が金融機関から借入をして、そのお金を社長に貸し付けたことを考えれば理解しやすいと思います。

会社は金融機関からの借入に対して、10万円の利息を支払います。
しかし、社長への貸付については利息を取らないとした場合、

(借方)支払利息 10 (貸方)現金預金 10

(借方)未収金      0 (貸方)受取利息   0

となり、法人税法上の儲けを-10万円として、法人税額を減額できるようになり、不当な結果になってしまいます。

これを回避するために、

(借方)未収金      10 (貸方)受取利息   10

として、法人税法上の儲けをプラスマイナス0として、法人税額を減額できないようにすることで、妥当な結果になります。

利息を計上していないとどうなるか

万が一、受取利息を計上していない場合、法人税法上の収益(益金)が計上漏れしているとされ、修正申告が必要になります。

この場合、黒字企業で毎期法人税を納めている会社であれば、法人税等の追徴課税が発生します。

また過少申告加算税や延滞税などの罰金が発生します。

このように、会社のお金を、社長だからといって無利息で貸し付けると、税務署からの物言いが付くことを覚えておかれるといいでしょう。

以上です。また明日!

おまけ

【編集後記】

実務書の中身を試読してから購入したいと思い、税務の専門書もおいてあるだろう書店に行きました。
しかし、税務実務書のコーナーは移転して、縮小されていて、意中の実務書はありませんでした。
もう、税務実務書(マニアックな専門書)はネットで買う時代になったんですね。。。((+_+))

【ムスコログ】

いつもより1時間ほど長めの預かり保育をお願いしました。
迎えにいくと、普段の半分くらいの園児しかおらず、息子も待ちくたびれていたようでした。