熊野大社の御堂のてっぺん
法人でも、個人事業でも、事業用の土地を売却することが稀にあります。
この場合、消費税の申告義務がある事業者(消費税課税事業者という)は、税務署に納める消費税額が例年にくらべて大きく増える可能性が高いでしょう。
今回はそれについて、専門家向けではなく、分かり易さ重視で、一般の方向けにラフに書いてみます。
適用にあたっては、必ず税理士などの専門家にご相談ください。
土地の売却は非課税取引
消費税法では、国内取引を、
・消費税がかかる取引(課税取引)
・消費税がかからない取引(非課税取引)
の2つに分けます。
非課税取引は、「消費」という性質になじまない取引を分類します。
土地は何十年使っても減ることがなく、「消費」という性質になじまないことから、非課税取引に該当します。
通常、土地の売却代金は高額になりがちです。
そうすると、土地の売却があった事業年度だけに例年ではありえない臨時かつ多額の非課税取引(非課税売上高)が生じてしまいます。
課税売上割合が大幅に低下
多額の非課税取引(非課税売上高)が生じると、課税売上割合を大幅に減少させてしまいます。
課税売上割合とは、以下の式で求められる割合です。これが消費税納付額に影響を及ぼします。
課税売上割合(%) = 課税売上高 ÷ (課税売上高 + 非課税売上高)
実は差し引ける(納付したとみなされる)消費税は課税売上割合に基づいて計算されています。
計算例を挙げてみましょう。
<例1:課税売上割合=97%のケース、最終消費者から預かった消費税200万円>
事業者に支払った消費税100万円×97%=97万円(納付したとみなされる消費税)
200万円-97万円=103万円(税務署に納付すべき消費税)
<例2:課税売上割合=85%のケース、最終消費者から預かった消費税200万円>
事業者に支払った消費税100万円×85%=85万円(納付したとみなされる消費税)
200万円-85万円=115万円(税務署に納付すべき消費税)
例2は例1に比べて
土地の売却代金が多額に発生→多額の非課税売上高の発生→課税売上割合の大幅な低下→納付したとみなされる消費税が大幅に減少→税務署に納付すべき消費税が大幅に増加
という流れで、消費税額12万円が増加してしまいます。
たまたま土地の売却があっただけで、事業内容が実質的に変化していない場合、この消費税額12万円の増加は不合理ですね。
皆さんも、納得のいく増加ではないでしょう。
その点は国税庁もケアしてくれたようで、以下の申請を出し、税務署長の承認をもらうことで前述の問題は解消します。
回避するため「準する割合の適用承認申請」
数十年に1回あるかないかの臨時的な土地の売却によって、突発的に消費税額が増加するケースを救済するため、
「消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」
を提出し、承認を受けることで、臨時的な土地売却取引を反映させない、ほぼ例年通りの課税売上割合を消費税の計算上、使用することができるようになります。
つまり前述の計算例でいうと、85%ではなく、97%で計算できるということです。
ただし、この申請の承認は決算日までに受ける必要があり、申請後承認が下りるまで最低でも1か月はかかるそうです。
まとめ
消費税の申告義務がある事業者(法人、個人)が事業用の土地の売却を行った場合、「消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」を検討する。
以上です。また明日!
おまけ
【編集後記】
ノートPCの調子が悪いです。
特にUSBスロットの認識不能が多くなりました。
USBメモリを何度も抜き差しして、3回目でやっと認識することも。。。(-_-;)
iPhoneのケーブルを1回で認識してくれないのはツライですね。
【ムスコログ】
明日は幼稚園の遠足なので、近所のスーパーでお菓子を買いました。
買ってきた4種類のお菓子を、味見と称して前日にすべて開封して少しずつ食べてました。(-_-;)