平成29年分確定申告の医療費控除の改正。「医療費控除の明細書」の添付が必要になる。【127】

平成29年分の確定申告では、従前の医療費控除で実務上の改正が行われています。

セルフメディケーション税制という医療費控除の特例(選択制)が新設されたことは、
以前、記事にしたとおりです。

新制度セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)で税金を取り戻そう!【107】

「医療費控除の明細書」の添付が必要

平成29年分の確定申告では、セルフメディケーション税制ではない従来の医療費控除の適用をうけるにあたり、
以下の「医療費控除の明細書」の添付が必要となります。
これは従来の領収書添付を省略するために設けられた明細書です。

平成 年分 医療費控除の明細書

平成28年分まで、つまり前回の確定申告まで紙ベースで申告書を提出する場合には、
1年分の医療費にかかる領収書を「医療費の明細書」と書かれた茶封筒にいれて封印して、
それを紙の申告書とともに税務署に提出していました。(電子申告の場合は領収書の提出は省略できましたが。。)

ひんぱんに通院されている高齢者の方ですと、
医療費領収書の量が100枚近くに及ぶことも珍しくなく、申告書よりもそっちが
かさ張ることもよくありました。

毎年、医療費の領収書を見るたびに、税務署ではこれをチェックできてるのかな?
これを送られても税務署でも保管に困るし、チェックも大変だろうなと思っていました。

やはり、税務行政側もこれをどうにか工夫したかったのでしょう。
平成29年分、つまり今回の確定申告から医療費領収書の添付は不要となりました。

ただし、医療費領収書は5年間は納税者が保管する義務がありますので、
確定申告が終わったからといって、すぐに廃棄しないように注意してください。

「医療費控除の明細書」に代えて「医療費通知」でもOK

領収書の添付が不要になった。でも「医療費控除の明細書」を作成するのが面倒になる。。。
という状況をみこして、従来は医療費控除の根拠資料として利用できなかった健康保険組合等が発行した「医療費通知」を、
「医療費控除の明細書」に代えて、利用することもできるようになりました。
健康保険組合等が発行した「医療費通知」とは、協会けんぽでいうと毎年2月頃に郵送されてくる「医療費のお知らせ」という書面です。
これを使えば手間が省けるので実務上大変助かりますね。

ただし、健康保険組合等が発行した「医療費通知」を利用するためには、
以下の6つが記載されている必要があります。
漏れなく記載されていることを確認することおすすめします。

  1. 被保険者等の氏名
  2. 療養を受けた年月
  3. 療養を受けた者
  4. 療養を受けた病院・診療所・薬局等の名称
  5. 被保険者が支払った医療費の額
  6. 保険者等の名称

経過措置

経過措置として、なお平成29年分から平成31年分まで(平成32年3月15日申告期限分まで)の医療費控除の適用については、
従来通りの医療費領収書添付でも適用可能となっています。
ただし、あくまで経過措置(将来的にはなくなる手続き)なので、平成29年分確定申告から、「医療費控除の明細書」もしくは健康保険組合等が発行した「医療費通知」を利用した方法で申告されることをおすすめします。

それでは、また明日。<m(__)m>

【編集後記】

税理士会の研修会に参加しました。
所得税と消費税の実務で誤りやすい事例が、まとまっているため、参考になります。
改正点などもフォローでき、研修単位にもカウントされるため参加をおすすめします。

【ムスコログ】

ひさしぶりにムシキングのゲームをやりたい!と昨日からお願いされていましたが、
今日は都合が悪く、ゲームできないことを告げるとギャン泣きされ、父と母は途方に暮れました。(-_-;)