決算書では利益が計上され、税金を払わなきゃいけないのに、なぜお金がないのか?。利益とお金(キャッシュ)の関係。【207】

利益とお金(キャッシュ)は同じもの?と勘違いされている創業間もない経営者の方がいらっしゃいます。

たしかに、会計に詳しくない方はそう勘違いしやすいと思います。

会計の専門用語とか専門知識とか分かりにくいですからね。

私が商業高校生のとき、おどろいた専門用語は勘定科目名で「車両運搬具減価償却累計額」。
これをテストの解答用紙に手書きさせられました。(-_-;)
画数いくつだよって感じです。(笑)いま数えてみたら128画でした。。。

話しが大きくそれましたね。話しを戻します。

今回は決算書の利益とお金の関係についてのお話。

損益計算書はお金の動きとはリンクしない

決算書と言っても、実際は複数の計算書類が含まれています。

一般的には、
・貸借対照表
・損益計算書
・株主資本等変動計算書
・個別注記表
などが含まれます。

この中で、利益(1会計期間の業績)を表示するのが、損益計算書です。

この損益計算書の利益、実はお金の動きとリンクしていません。

代表的な原因をあげると、①信用取引、②減価償却、③借入金です。

①信用取引
「決算日に得意先に掛けで商品を売り上げた。(掛け売上げ)」場合、現金は後日入金になるため現金の受領はありません。
しかし掛けで売り上げたという事実に基づいて、売上を計上し、利益を計上することになります。
この場合、現金の入金がないのに、売上金額だけ利益が計上されます。

②減価償却
10万円を超えるような設備投資をした場合、購入代金を一括で現金払いしたとしても、その全額が支払った会計期間の経費にはなりません。
100万円の車(耐用年数5年と仮定)を即金で購入しても、その支払った会計期間に経費になるのは20万円(100万円÷5年)だけです。
そのため、利益は80万円計上されているのに、お金は0円ということが起こります。

③借入金の返済
事業を始めるとき、必要資金が自己資金で用意できない場合、金融機関から融資を受けると思います。
お金を借りたときは、借入金額だけ現金が増加しますが、利益の増減は一切ありません。
反対に借りたお金を返すとき、返済額だけ現金が減少しますが、利益の増減は一切ありません。
そのため、利益とお金はリンクしません。

お金の動きを表すのはキャッシュ・フロー計算書

では、お金(キャッシュ)の動きを示す計算書類はないのか?

いいえ、あります。それがキャッシュ・フロー計算書です。

しかし、中小企業はキャッシュ・フロー計算書の作成を強制されていないため、あまり目にしたことがないかもしれません。

参考までに、リンクを貼っておきます。

キャッシュ・フロー計算書のひな形

経営には、資金繰りがとても大切です。資金ショートすると倒産します。業績は赤字であっても一時的であれば倒産まで至りません。

そのため、現金(キャッシュ)と利益の違いをマスターし、資金繰りを考えることが、経営者には必要だと私は考えます。

利益とお金が一致する場合とは

余談ですが、ごくまれに、利益とお金が完全にリンクする場合があります。

それは、掛け売上・掛け仕入などの信用取引を一切せず現金のみで取引し、減価償却が必要となる固定資産を一切もたず、無借金経営の場合です。

かなりのレアケースなので利益とお金は別物と思っていただいてほぼ間違いありません。

おまけ

【編集後記】

なんだか最近、新しい仕事や興味のある仕事のオファーをいただけるようになりつつあります。
とてもありがたいことで、とても感謝しているしだいです。<m(__)m>

【ムスコログ】

新年度で新しいクラスになって幼稚園2日目。
まだ慣れない年中組の雰囲気に緊張しているのか、家に帰ると「おんぶして~!」と、いつもに増して甘えてきます。!(^^)!