税務リスクへの対応策。勉強しっかり、コミュニケーションを密に、税理士損害賠償保険に加入。【270】

久保ゆきやセミナー

税務リスクってなに?

税理士業務には税務リスクというものが常について回ります。

税務リスク。
一般の方は初めて聞く言葉ではないでしょうか?

税務リスクの典型例は以下のとおりです。
税理士がお客様の確定申告書を作成して申告を行ったが、後日の税務調査で誤りが見つかり、お客様に本税の不足額(正しく申告していれば納税していたはずの税金)と延滞税などの罰金(ペナルティ)が課税されるといった事例です。

本税は正しく申告していれば納税者が納めていたはずの税金なので、通常は税理士がそれを負担する必要はなく、全額を納税者が負担します。

これに対して延滞税などの罰金(ペナルティ)は税理士がミスしなければ発生しなかった税金なので、通常は税理士と納税者の話し合いによってそれぞれの負担額を決定します。
ミスの程度にもよりますが、税理士が100%負担しなければならないこともありえます。

税務リスクの恐さ

税理士はお客様の申告書を作成・電子署名・電子申告(税務)をするたびに、このリスクに晒されるわけです。

いやー。恐いですね。

独立して自分で申告書に署名するようになって初めて税務リスクを自分事として考えるようになりました。

税理士はその署名に税務リスクを負うわけですから、生半可なチェックと覚悟で署名する訳にはいかないんです。特にチェックはものすごく気を使います。日にちを変えて最低2回はチェックしますね。

税理士業務に価値を感じていただけていない納税者の方に、
「PCでちょちょいっと申告書作って提出するだけで(短い時間で大した作業もしていないのに)、決算料を10万も20万も請求するのが納得いかん!」
という方がごく稀にいらっしゃいますが、それはこのような税務リスクを全く考慮に入れていない発言です。

税務リスクへの対応策

現在、私が考えている税務リスクの対応策は3つあります。
最初の2つが特に重要だと感じています。

税理士が勉強し続ける

税理士が毎年改正される税法をしっかりキャッチアップしていくことが重要です。
つまり税理士が最新税法を常に勉強しつづけなければならないってことです。

最新税法をしっかりマスターすれば、必然的に、改正点の知識不足によるミスを防ぐ可能性が高まるからです。

したがって、現役税理士を続けるのであれば常に勉強し続ける覚悟が必要です。

お客様とのコミュニケーションを密にする

税理士がしっかり勉強していたとしても、お客様とのコミュニケーションが取れなければ、残念ながら税務リスクを低く抑えることはできません。

税理士はお客様側で起こっている経済取引や税務判断に関わってくる事実を、お客様とのコミュニケーションなしに知ることができないからです。

お客様側からそのような正確な情報を入手して初めて、税理士側で適切な税務処理することができるようになるんです。

お客様の情報を得るために、税理士は密なコミュニケーションを取る必要があります。

これにより、情報不足・情報誤りによる税務リスクを低く抑えることができます。

税理士損害賠償保険に加入する

税理士も人間ですから税法の解釈を誤ったり、申告書の作成で事務的なミスをする可能性はゼロにできません。

つまり前述の継続的な勉強&密なコミュニケーションを行ったとしても、税務リスクはゼロにすることはできません。

そこで税理士の過失に起因して、お客様に損害を与えた場合に保険金がおりる税理士損害賠償保険というものがあります。

税理士業務に特化した任意の職業損害賠償保険です。

実働している税理士の約70%が、この保険に加入しています。

当然、私も加入していますよ。(笑)

税務リスクは人為的なミスによって生じるため、どうやってもゼロにできません。
したがって、税理士にとっては損害賠償金の工面のため、お客様にとって損害回復のために、税理士はこの保険に入っておく必要があると思います。

言わずもがな、この保険金をもらわないように努力することが1番大切ですが。

以上です。また明日!

おまけ

【編集後記】

午前は、家事と書類作成。
午後は仙台の東北税理士会会館で試し読みをしながら実務書を購入。
夕方はそのまま仙台で税務関連セミナーを受講。
帰宅したのは22:00でした。

【ムスコログ】

朝、幼稚園バスに乗せて見送りました。
それ以降は私の帰宅が遅かったので、ぐっすり眠っている姿だけ確認しました。
私が帰ってくるのを待つと言って、頑張って21:30まで起きてくれていたそうです。(妻談)
しかし間に合いませんでした。(-_-;)