税理士には決算書・税務申告書の信頼性を保証するという社会インフラ機能がある。【311】

税理士には決算書・申告書の信頼性を保証するという社会的インフラ機能があると考えています。

税務申告書の正確性について保証機能

税理士は、法人税申告書や所得税申告書を代理作成した場合、その申告書が正しく作成されていることについて責任を負います。

その意思表明が申告書への署名(サイン)です。

税務申告書への署名は税理士もしくは税理士法人にしかできません。

つまり、署名のある申告書について、署名した税理士がその正確性につき保証しているという側面をもちます。

署名した申告書にミスがあると、署名した税理士も責任を問われます。

税理士としての信用が傷つくだけでなく、経済的負担も負う可能性があります。

端的にいえば、依頼者(納税者)に与えた経済的な損害を賠償する責任(損害賠償責任)です。

署名により大きな責任を負うため、相場より少ない報酬で、気軽に申告書に署名なんてできません。

効率的な税務調査をサポート

もし税理士の署名がないとどうなるでしょうか?

税務署に集まってくる申告書について、その信頼性を評価して区別することができなくなります。

前述のように、税理士署名はその税理士が責任をもって、申告書を作成したという目印です。

税理士は税法に精通した専門家ですから、ある程度はその申告書を信頼することができます。

対して、税理士署名のない申告書は、その作成に税の専門家が関与していないため、税理士署名がある申告書に比べて、信頼性が劣ります。
税理士の関与がない一般の納税者がつくった申告書の方が誤りがある可能性が高いと誰でも考えますよね。

そのため、税理士署名あるとなしでは、「署名なし」の方が税務署の税務調査の対象になりやすいでしょう。
(税理士署名があっても、調査に来るときは来ますので、念のため。)

また税務調査をする側からすれば、申告書にミスがある可能性の高い申告書を、税理士署名のあるなしで判断できるため、的をしぼった効率的な税務調査ができるはずです。
当然、税理士署名のない申告書をねらって調査対象を選ぶでしょう。

つまり、税理士の署名が効率的な税務調査をサポートとしているんです。税理士署名というフラグをたてることで。

2つの側面から社会的インフラ機能をもつ

中小企業や個人事業の決算書・税務申告書といえども、それを参考に融資する銀行や取引に入る業者もいるため利害関係者がいます。

その人たちが利用する決算書・税務申告書の信頼性を高めるという点で、税理士署名は社会的インフラ機能を備えています。

また税務調査は、適正な納税を実現するための社会的なインフラです。

それをサポートする税理士業務は、この点でも社会的なインフラ機能という側面をもっています。

このように2つの点から、税理士には社会的インフラ機能があると考えています。

以上です。また明日!

おまけ

【本日の成長】

不動産取引の経費を税務処理を検討

【編集後記】

不動産取引の会計処理を複数の専門書で調べ物。
リスクヘッジで複数の専門書で根拠を確認してから税務処理をするようにしています。

【ムスコログ】

今日は幼稚園の終業式。
明日から夏休みがスタート。
どこに連れて行ってもらおうか考えているようです。

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